医学部進学で学費を抑える方法として、国公立大学医学部が一般的に知られています。
しかし実は、私立医学部でも学費負担を大幅に軽減できる「地域枠入試」という選択肢があります。
医師の地域偏在・診療科偏在を解消する目的で、多くの自治体が奨学金付き地域枠を設けており、条件を満たせば実質的に学費負担をゼロに近づけることも可能です。
本記事では、順天堂大学医学部を例に、私立医学部の地域枠入試の仕組みとメリット・注意点を詳しく解説します。
医学部の学費はいくらかかる?国公立と私立の違い
国公立大学医学部の学費(6年間で約320万円)
お金をかけずに医師になる方法として、まず考えられるのが国公立大学医学部への進学です。
国立大学の授業料は原則全国一律で、6年間の学費は約320万円に抑えられています。
私立大学医学部の学費相場(1,800万円〜)
一方、私立大学医学部の学費は高額で、最も安いとされる国際医療福祉大学でも1,800万円以上が必要です。多くの私立医学部では2,000万〜4,000万円程度かかります。
私立医学部は本当に「高すぎる」のか?
医師になった後の生涯年収を考えると、私立医学部の学費を「投資」と考えることもできます。しかし現実には、高額な学費を理由に私立医学部を最初から選択肢から外してしまう家庭が多いのも事実です。
私立医学部でも学費を抑えられる「地域枠入試」とは
地域枠入試が作られた背景
地域枠入試は、医師の地域偏在・診療科偏在を解消する目的で設けられました。
特に、へき地医療、小児医療、周産期医療、救急医療などでは、慢性的な医師不足が続いています。
地域枠=奨学金付き入試という仕組み
地域枠入試では、自治体から高額な奨学金が貸与され、卒業後に一定期間、指定された地域・診療科で勤務することで返済が免除されます。
学費が実質ゼロになるケースもある
自治体によっては、学費相当額に加えて生活費まで支給されるため、実質的に自己負担ゼロで医学部に通うことも可能です。
【順天堂大学】医学部の入試方式と特徴
順天堂大学医学部の入試概要と募集人数
順天堂大学医学部の一般入試は、幕張メッセ国際展示場で実施されます。
例年2,000人以上が受験し、最終的に入学するのは130人前後です。
一般入試・共通テスト利用・地域枠の違い
順天堂大学医学部には以下の入試方式があります。
- 一般A方式
- 前期共通テスト利用
- 一般B方式
- 共通テスト・一般併用
- 後期テスト利用
- 地域枠・研究医特別
医学部は定員管理が厳格なため、多数の補欠合格者を出し、電話連絡で最終的な入学者数を調整します。
併願可能だが受験料は高額
これらの方式は併願可能ですが、
- 一般A・B、併用、地域枠:6万円
- 共通テスト利用:4万円
と、受験料の合計は高額になりがちです。
順天堂大学医学部の入学金・受験費用に注意
入学金200万円は返還されない
順天堂大学医学部の入学金は200万円と高額で、他大学に進学した場合でも返還されません。
地方受験生は交通費・宿泊費も要計算
地方在住の受験生は、保護者同伴で宿泊するケースも多く、交通費・宿泊費も無視できない負担になります。
併願戦略を誤ると無駄な出費になる
そのため、私立医学部受験では併願戦略の事前設計が非常に重要です。
【2025年最新】順天堂大学医学部の地域枠一覧
対象自治体(東京都・千葉県・埼玉県など)
2025年12月現在、順天堂大学医学部の地域枠は以下の自治体で設定されています。
- 東京都
- 新潟県
- 千葉県
- 埼玉県
- 静岡県
- 茨城県
- 群馬県
※地域枠の対象自治体は毎年変更されるため、必ず最新の募集要項を確認してください。
東京都地域枠はどれほど手厚い?奨学金の内訳
学費+生活費で約2,800万円の支援
東京都の地域枠では、以下の奨学金が貸与されます。
- 学費相当:6年間 約2,080万円
- 生活費:月10万円 × 6年間(約720万円)
- 合計:約2,800万円
卒業後9年間の勤務で全額返済免除
卒業後9年間、東京都の地域医療(小児・周産期・救急・へき地医療など)に従事すれば、奨学金は全額返済免除となります。
「縛り」がある代わりに学費負担はほぼゼロ
勤務義務(いわゆる「縛り」)はあるものの、学費負担をほぼゼロにできる点は非常に大きなメリットです。
地域枠入試は一般入試より入りやすいのか?
合格ラインが低いと言われる理由
地域枠は募集人数が限られ、志望者も限定されるため、一般A方式より合格ラインが低い場合があると言われています。
学力以外に重視されるポイント
一方で、学力だけでなく
- 地域医療への理解
- 志望動機
- 将来像
が重視されます。
面接・志望理由の重要性
特に面接対策と志望理由の完成度が合否を左右します。
地域枠の「縛り」に注意
医学部入学後、6年間の医学教育を受けることになります。
その間に、なりたい医師像が変わってきたり、ワークライフバランスのある働き方を考える学生も出てきます。
また、基礎医学研究に興味が出てきた、そもそも医師への適性に疑問が生じることもあるかもしれません。
地域枠入試を検討する際に保護者がすべきこと
制度理解と条件確認は保護者の役割
地域枠は制度が複雑なため、条件や返済免除要件の確認は保護者のサポートが不可欠です。
奨学金返済条件の確認ポイント
- 勤務年数
- 勤務地域・診療科
- 途中離脱時の返済額
は必ず事前に確認しましょう。
情報収集で合否と家計が変わる
情報量の差が、合否だけでなく家計負担に直結します。
まとめ|私立医学部・地域枠は現実的な選択肢
国公立大学だけにこだわらず、私立医学部の地域枠入試にも目を向けることで、医学部進学の選択肢は大きく広がります。
地域医療や医師不足の診療科に強い関心がある場合、地域枠は非常に有力な制度です。
加えて、自治医科大学や防衛医科大学校も併せて検討するとよいでしょう。
本記事が、医師を目指す受験生とそのご家族の参考になれば幸いです。



